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御玉弱師の独り言

  • 執筆者の写真: 御玉弱師 _info
    御玉弱師 _info
  • 2021年11月14日
  • 読了時間: 7分

更新日:5月20日

ここでは音楽&映像作家の御玉弱師が、制作の裏側や日常をぶつぶつと呟くコーナーです。

御玉弱師について知りたい方、制作の裏話しや制作風景を見たい方、暇な方は是非ご一読ください。


2025 5/11


映像の中で音の役割ってどんなものがあると思いますか?

最近聞き馴染みのあるものだと、”ゴジラ”の音楽や効果音は作品の世界観を強く強調しキャッチーで印象に強く残るメロディは視聴者の恐怖を強く煽ります。


このように、映像に使われる音響というのは、映像に現実味を与え私たちをスクリーンの中へ引き込む機能があるわけですが、果たしてそれだけなのでしょうか。

実は、映像の中に含まれる音にはただ感情を煽ったり、映像のメリハリを強調したり、足音を大きくしてゴジラの重さを表現する以外に、とても重要な役割を果たしているんです。


それはズバリ 視線誘導 なんです。


”音”なのに”視線”? と思った人が大多数だと思います。

自分も音と映像を作る身分でありながらなんとなくでしか把握していませんでした…

では、”音が持つ視線を誘導する力とはなんなのか”を細かく説明していこうと思います。


この説明をわかりやすくするために、前提として伝えておきたいことがあります。

音楽においても映像においても、演出的な技法というのは全て”人間の生物学的機能”を利用したものであるということです。

例えば、今突然『バン!!』大きな音が鳴ればびっくりしますよね? これは音楽において「サビなどの盛り上がるところで効果音をつける」とか「盛り上がるセクションで一曲を通して一番音量を大きくする」などの初歩的な編曲の手法として取り入れられています。

映像に関して言えば、色の錯覚を利用した演出が沢山あり、例えば青色の背景を長く見せた後に黄色やオレンジ色のシーンを配置することで、よりその色を鮮やかに見せることができるというものです。

音が持つ視線誘導もこれらと同じく”人間の生物学的機能”を利用したものです。


今、あなたの部屋のどこかで虫の鳴く声が聞こえたとします。もしくは薄暗い階段で、後ろから誰かの足音が聞こえたり、人混みの中に親しい人の声が聞こえたとします。

あなたはおそらくその音が鳴っている場所を探すでしょう。

これこそが”音が持つ視線を誘導する力”の正体です。


生物学的に聴覚の役割を考えると当然のことですが、自然環境において聴覚というのは敵や獲物の場所を察知する機能を持っています。つまり、聴覚を持つ私たち人間も「音がなったらその対象を探す」という原始的な本能を持っているんです。虫の鳴き声が聞こえたらその場所を探してしまいますし、後ろから誰かの足音がしたら後ろを振り向き、親しい人の声が聞こえたらその場所に目を向けてその姿を探してしまうのです。

ではこの便利な視線誘導の力をどのように利用したらいいのでしょう?

ここで、自分が製作した映像を作例として掲載します。



この映像を製作している時、自分はこの視線誘導の力を学びました。

これがどのような映像かというと、大きな影が飛んでいる戦闘機を覆い、巨大な宇宙船がカメラに映し出されます。次のショットで宇宙船の全体をとらえる引きのカメラアングルに切り替わるのですが、宇宙船の対比として小さい米粒ほどの大きさの戦闘機も写っています。

ここで問題なのが、戦闘機が小さすぎて、このショットだけでは戦闘機であることを認識できないだけでなく、戦闘機が写っていることに視聴者が気づかない可能性があるということです。

これは映像制作において重大なミスと捉えられるでしょう。

音がなければ そうなっていました。


このショットで戦闘機の音が少しずつ左から右へ近づいてきます。

この音があることで自然と音のなっている場所(米粒サイズの戦闘機)へ視線が向き、映像だけでは識別が難しかった戦闘機の存在を明確にしたのです。


このような技法はおそらく専門書に記載されていることでしょうし、それらを自分の手で選び、手に取り、知識を吸収することも大事です。

しかし、こうして手探りで見つける"自分なりのセオリー"は本で読んだり参考動画を眺めるだけでは得られない"驚き"があります。

この驚きという体験には参考書10冊分くらいの価値があると思ってます。


ということは、今10冊分得してるということだから、本10冊買ってもいいってことか。

さて、アマゾンの奥地へ本を探す旅に出るか。



2025 3/15


ここ最近CGモデリングのレベル上げのために今まで制作していた宇宙船やキャラモデルをブラッシュアップしています。

そこで学んだことなんですが、ビジュアルにおいてライティングが占める情報量ってかなり多いんですね…

正直、モデル自体のクオリティを倍に引き上げることもできると思ってます。

「なんでモデリングの話をしてたのがライティングの話に切り替わっとんねん」と思いましたね?

実はそこがこの話のキモなんです…!


自分の作品って、CG界隈でいうところのセルルックというジャンルになるのですが、それは光の陰影をベタ塗りで表現することでアニメのような質感をCGで再現するもので、「光が当たる部分は明るい肌色で!」「影の部分は褐色で!」というように色を指定していくことで立体空間で二次元的な見た目を生み出しています。

しかし、その手法だと細かい陰影の表現が難しいため、せっかくオブジェクトの細かいディテールを作り込んでもそのポテンシャルを発揮しきれないんですよね…

さらに、光の色を無視して光量の数値を反映するので光の色による演出も難しいんです。

(コンポジ段階でエフェクトを入れるなどして光の演出を入れることは簡単なのですが)

そこで私は思いました。


「陰影や質感を表現できて光の色を反映できるトゥーンシェーダーがあればいいな〜」と。


そして完成したのがこちらです。


一見アニメ調ですが、よく見るとちゃんと光の色(この絵の場合赤と青)が髪や肌、服に当たっているのがわかります。

このマテリアルであればトゥーンシェーダー(アニメ調)の世界観を保ちつつ、オブジェクトの凹凸、質感をより細かく表現でき、光の色の演出も使える、ということです。

しかしここで一つ問題が生じました。


それは「光の陰影や色がのることで、アニメ独特の鼻のデフォルメされた形状に違和感が出てしまう」ことです。(上の画像はすでに鼻を修正したもの)


最初は一つ鼻を造形し、それをコピペしようと思ったのですが…


””鼻の形状って、めっちゃ個性出るくない?””


ということに気づいてしまい、結局全キャラ鼻を一つ一つ造形しました。

今となっては5分で鼻を作れます。多分。



このような”一つの問題を解決すると別なところの問題が浮き彫りになる”という”創作における問題発生の連鎖反応”はよくあることで、これにぶち当たるほど自分はワクワクしてきます。

それは目指したゴールへ着実に進んでいることの証明であると同時に、予想以上のことを学び、気付けるチャンスだからです。

これこそが「一瞬の体感を味わって生きていく」ことだと私は思うのです。

知らんけど。



2025 2/6


初めまして、御玉弱師です。

よく「1質問したら10返してくるよね」と言われるくらい喋り出すと止まらない性格なのですが、それゆえ自ら何かをしゃべることを控えがちで、一般的にはあまり喋らない人と思われることもあります。

結果的に色々思ってることとか考えてることとかあるけど場を提供されないと全部表に出せず、当時最大の戦艦でありながらも勿体無さから戦場に駆り出されずずっと港に停泊していた戦艦大和もゼロ距離で46cm砲をぶっ放すほど大量の出し惜しみ情報を抱え込んでいるわけです。

そしてつい最近「そういえば自分ホームページ持ってたよな、ここで色々しゃべれば良いのでは」と思い立ち、ここにつらつらと独り言を書いているのであります。

ここなら簡単に文章の修正もできるし、ちょっと専門的なことを呟いてもイマイチな反応されることもないし、かなり理想的な環境であると思います。この環境を最大限に生かし、制作の裏側や専門的な独り言、blenderやCubaseの操作における備忘録を書いていこうと思います。気になる方はちょくちょく覗いていってください。

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